Music Factory Tokyo

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  • Stella☆Beatsに向けた楽曲コンペ・飯田一之が最終選考通過!(後編)
      前回、アイドルグループ・Stella☆Beatsの第三弾シングル楽曲コンペを勝ち抜いた飯田一之は、プロデューサーの大石孝次氏と面談を行い、合格の理由などを伝えられた。また、アレンジの面でさらに一工夫を加えたいという大石氏の提案があった。

     8月某日、飯田が改めてテレビ朝日ミュージックを訪れると、そこには大石氏とともに、Music Factory Tokyo出身でアンジュルムの『魔法使いサリー』などのアレンジを手がけた中村佳紀の姿が。中村は「今回、一緒に挑戦させていただけてとても光栄です。 大石さんから“さらに冒険した作品にしたい”とお伺いしているので、 僕も全力でチャレンジします。仕上がりが楽しみですね。 」と意気込みを見せる。



     スタジオではさっそく、いくつかの参考曲を聴きながら仕上がりのイメージを固めていく。ハービー・ハンコック『Cantaloupe Island』のアシッドジャズ・バージョンなどを聴き、「こんな感じで、ドラムはキックとハットとスネアだけでフロア感を出して、ウワモノはわざとサンプリングをかけてローファイなサウンドにすると、雰囲気が出てくるんじゃないかな」と語る大石氏。アイドル楽曲の持つ華やかなイメージからはかけ離れた、ファットなビートとブラックなサウンドに、飯田と中村は驚きを隠さない。



     華やかにアレンジするのではなく、むしろ音数を減らし、土臭くもクールな方向性を目指すーー大石氏の狙いがうまくハマれば、たしかにこれまでにないアイドル楽曲となりそうだ。さらに大石氏は「たとえばホーンをフィルターのかかったオルガンにしたりとかすると、よりドロっとした音になるんじゃないかな。Stella☆Beatsは良い意味でティーンっぽさが少ないグループだから、エッジの効いた楽曲に挑戦させたい。チープな素材を巧みに組み替えて洗練されたサウンドを生み出す、サンプリング・ミュージックの魅力をぐっと引き出せれば、単なるオケではない、広く音楽ファンにも刺さる楽曲になる可能性があると思う」と続ける。

      大石氏の狙いが読めたのか、飯田は「たしかにオルガンをフィーチャーするとかっこいいかもしれない。わざとざらついた古い感じのサウンドにして……」と、アイデアを巡らせる。中村も「いまは結構テンションが高めなので、それをどうクールダウンさせるかが大事かもしれないですね」と、意見を延べる。大石氏は「アシッドジャズは、人によって解釈が異なると思うし、たとえばリズムをメインで効くのか、歌を聴くのか、ホーンを聴くのか、聴き方も違うと思う。アシッドジャズには、人の楽曲を切り貼りしているだけで、厳密には作曲をしたとはとても言えないような作品もあるけれど、しかしそこにはサンプリングでしか出せないクールさがあるし、楽曲そのものをひとつの音の素材として扱うという、手法としての圧倒的な斬新さもある。ある意味では、ひとつ上のレベルの音楽遊びで、リズムや楽曲をどうぶっ壊していくかというセンスが問われる、一筋縄ではいかない高度さもある。それをアイドルがやるということにどんな意味が生まれるのか、最終的にはその定義付けがしたい」と、コンセプトを語った。

      「展開はもう少し練ってみるけれど、アレンジについてはお任せするので、どんどんぶっ壊してください」という飯田と、「完成形はまだ見えないけれど、非常に楽しみ」と語る中村。広くアイドルシーンにおいてもかなりの実験作となりそうな今回の楽曲。果たしてどんな仕上がりになるのか。

    取材・文:松田広宣

    2015.10.01

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