SPECIAL INTERVIEW

テレビ朝日ミュージックにはケツメイシ、湘南乃風、ソナーポケット、平井 大など、様々なアーティストが所属しています。その関連グッズや、イベントグッズ等の企画・制作から販売まで手掛けるのが「マーチャンダイジング部」。

最近では新たな市場の開発や、ECサイト販売・デジタルマーケティング強化にも注力。つねに数字と向き合う厳しさがある半面、自身が企画したグッズがお客様に届き、ダイレクトに反応を感じられるダイナミズムとやりがいにも満ちています。

モノづくりの楽しさと難しさ、新たなチャレンジを、今回はマーチャンダイジング部を代表して2名に聞いてみました。

INTERVIEW MEMBER

それぞれが様々な案件を担当し、つねに新しいもの、面白いものを追い求めるエネルギッシュさと、相反する細やかさをあわせ持つメンバーが揃う。

  • Kさん

    2020年
    中途入社

  • Jさん

    2012年
    中途入社

グッズビジネスの新しい在り方を模索

−まずはみなさんが普段どんな業務をされているか教えてください。

[J]私は、今の部署に配属になり3年目。2021年4月からは副部長としてマーチャンダイジング事業全体を監督させていただいています。ライブやイベントに合わせたグッズ企画はもちろん、ライブ開催に頼らないグッズビジネスの在り方も模索しています。部署のメンバーと知恵を出し合って日々、切磋琢磨している感じですね(笑)。

[K]僕は2020年に転職してきて、今はおもに湘南乃風関連のグッズを担当しています。商品を企画し、デザインを考えて、業者さんとやりとりして生産を管理し、会場で販売する。一通り全部ですね。あとはプロモーション用の動画制作。モデルさんを手配して、社内で撮影し、もろもろ編集してSNSにアップするまで。こちらも一連のプロセスを基本1人でこなしています。

[J]すごいですよね、私が言うのも変だけど(笑)。Kさんが入ってきてくれて本当に助かってます。

マーチャンダイジングも、
五感に訴えることが大事

[J]転職前はアパレル業界が長かったんですよね?

[K]はい。何だかんだで15年くらい。おもにデザイナーとして洋服、雑貨、アクセサリーなどを手がけつつ、生産、営業、販売の現場も経験して。加えてカタログやフライヤーなどグラフィック系のデザインもかなりやっていました。新しい可能性にチャレンジしたくてこの会社に移ったんですけど、仕事そのものにはほぼ戸惑いはありませんでした。前職のスキルやノウハウがかなり役立ってくれていると思います。Jさんもたしか、転職組なんですよね?

[J]私は子どもの頃から、音楽業界で働くのが夢で。この会社に入る前は、コンサートスタッフの派遣会社で働いていたんです。コンサート会場にアルバイトさんを派遣する仕事でした。

[K]へええ、そんな会社があるんだ。

[J]日々、とんでもない量の面接をこなして。コミュニケーション力と観察眼が鍛えられましたね(笑)。もう1つよかったのは、いろんなアーティストのグッズ売り場を実際に訪れ、商品を手に取れたことです。Tシャツやタオル1枚をとっても、やっぱり作り手の愛情とかコダワリって仕上がりに出ますし。同じグッズを販売するのでも、単にテーブルに積み上げるのと、クロス1枚敷いて照明を当てて売り場をつくるとのでは、お客様が受ける印象も全然違うと思うんです。マーチャンダイジングもやっぱり、五感に訴えることが大事なんだなって。この経験は今、すごく大きな財産になってくれています。

アーティストにとって物販の重要度は
どんどん増してきている

ーそれぞれ、グッズ制作で大事にしているポイントは何でしょう?

[J]多岐にわたるんですが、一つは、やっぱり赤字を出さないことです。近年、新型コロナウイルス感染症流行の影響もあり、アーティストにとって、グッズ販売の重要度がどんどん増してきているんですね。CDのマーケットは縮小が続いているし、ライブやイベントにも膨大な人件費がかかるので。マーチャンダイジングでしっかり収益を出していく必要があります。ただ難しいのは、アーティスト側が作りたいイメージとファンの方々がほしいものが、つねに一致しているとは限らないということですね。

[J]なので私は、グッズの企画をアーティストに提案する際には、徹底的にデータを揃えてお話しするようにしています。過去にどんな柄があってどのくらい売れたかをすべて数値化してありますし、アンケートを活用したり、来場者の服装や持っているものなども参考にします。そのうえでアーティストの想いもしっかり汲み取らないといけないですし。グッズってやっぱり、アーティストとファンの方々をつなぐものでもあると思うので。

[K]僕はアーティストに提案する際は、企画の内容がひと目で伝わるようにイメージ画像を用意していきます。例えば今年、湘南乃風の通販サイトでは、「限定お年賀ギフト」として虎柄の絵皿セットを予約販売したんですね。プレゼン段階でビジュアルまで落としこんでいたので、スピード感も上がりました。実際、絵皿の配色やデザインについてもメンバーからいろいろ意見もいただけて、制作にしっかり反映させることもできました。

[J]たしかに、人とのコミュニケーション能力は問われる仕事なのかなとは思います。いくらリサーチ能力やデータに基づいた企画力があっても、いただいた意見を“それじゃあ売れませんよ”と跳ねのけていては、なかなかいい関係は築けないと思うので。

新しいチャレンジを続けることで、
マーチャンダイジングの幅が
広がっていく

[J]先ほど“とにかく赤字を出さないことが大前提”と言いましたが、だからといって確実に売れるラインナップだけじゃ面白くないと思うんです。例えばツアーと連動するなら、何か1つくらいお客さんに笑ってもらえる“飛び道具”も入れたいな、とか。

ーツアーの思い出にもなる、象徴的な“おもしろグッズ”。担当者の手腕が発揮されるところですね。でもリスクも高くないですか?

[K]リスクは高いですよね(笑)。

[J]なので賭けに打って出るときも、事前にあらゆる類似データを引っ張ってきて。正確な販売個数を予想できるよう、みんなで知恵を出し合います。もちろん、それだけ努力しても大失敗するケースもあります。そこはツアー全体できちんと帳尻が合うように、商品構成とバランスを細かく考えることも大事ですね。

[J]Kさんが企画した湘南乃風の絵皿セットもまさにそうだと思うんですけど、やっぱり新しいチャレンジがないとマーチャンダイジングの幅も広がっていかないし、やっている自分たちも面白くないですし。

[K]本当にそうですね。

[J]たまに自分が考えた“飛び道具”がハマって、他事務所のアーティストさんが似たようなグッズを制作されるときがあるんですよ。それを知ったときは内心もうガッツポーズ(笑)。この仕事、アイデアを真似されたら勝ちだなと(笑)。そういう冒険や遊び心を許容してくれる社風は、自分としてはすごくありがたいです。

ECやSNSマーケティングにも、
さらに力を入れていきたい

[K]個人的には今後、ECサイトにさらに力を入れていこうと思っています。例えば僕が担当している湘南乃風は、これまではライブ会場での売り上げが圧倒的に多かったんですね。でも昨年はコロナ禍でライブができない状況があって。結果的にはツアー再開の1年前から、通販サイトでずっと関連グッズを販売していたかたちになりました。そうなると定期的に新しい商品を企画して、サイトを活性化する必要が出てくる。

[J]ライブができないからといって思考を止めてしまえば、マーチャンダイジング事業そのものが止まってしまう。私たちの部署は、ステイホーム期間中もリモート会議をたくさんやって、みんなで企画を出し合っていました。それもあって現状ここまでは、そこまでの落ち込みは経験せずにすんでいます。

[J]以前までは、まずツアーがあってグッズを企画するというフローが確立されていましたが、コロナでぜんぶ崩れてしまって。今後はアーティストの活動をより細かく把握し、ツアーとは異なる付加価値を持つグッズを制作して、ECサイトで販売するということが、これまで以上に大事になってくるじゃないかな。あとは新しい市場の開発ですね。

アーティストファン層のみならず、
幅広い購買層を
獲得するための様々な取り組み

ー新たなマーケットというのは、具体的には?

[J]従来のマーチャンダイジング事業は、基本的にはアーティストのファンの方々に向けてのものでしたが、ファン以外の方々、もっというとそのアーティストのことを知らない方々にもグッズを買っていただくには、どうしたらよいかということですね。それにはリアルでもネットでも、これまでとは違う場所でグッズを販売する必要がある。最近だと平井 大が「LIGHTNING BOLT」というサーフブランドさんとコラボしたTシャツをセレクトショップ「nano・universe」で販売していただいたり。また以前には湘南乃風とカーアクセサリーブランド「D.A.D」とのスペシャルコラボグッズを、オードバックスで販売するという試みもおこなっていて。こういう事例も増やしていきたいと考えています。

[K]僕はSNSの活用も今以上に強化していきたいです。根強いファンが多数いる一方、“学生時代はよく聴いていたけど、最近の活動は忙しくてあまり知らない”というグレー層も、実はすごく多いと思うんですね。そういう人に対して再び訴求したり、あるいは新規のファンを開拓するのに、SNSは非常に有効なツールじゃないかと。

[K]また当社ではアーティストがプロデュースするアパレルブランドもいくつか展開しています。そこでも単に商品をサイトに掲載するだけじゃなく、実際にモデルさんに着てもらった動画を作ってインスタグラムなどにアップした方が、はるかに訴求力があります。

[J]実際、Kさんが動画を作るようになってから、SNSからのサイトへのアクセス数はぐっと増えましたよね。

[K]はい、前年比で6倍くらい。良い商品をつくっても、目に触れなければやっぱり意味がない。ここはまだまだ開拓の余地があると思っています。今はとにかく、一緒に動画を作ってくれる仲間が切実にほしいなと(笑)。

探究心のある人と一緒に働きたい

[J]今は10名に満たない部署ですが、まだまだ部署としてもいろんなことにチャレンジしていきたいので、探究心のある方と一緒にお仕事できたら嬉しいです。アーティストとファンの方々との間に立って、双方の想いを汲み取りながら、グッズ制作を通じてアーティスト・IP(知的財産)のブランディングに寄与してくのが私たちの仕事です。“もっと面白いことないかな”って考える人には、かなり働きがいのある部署だと思います。

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